知的生活の方法
この本は、ライフスタイルを説いた本だ、というのが私の感想だ。
ライフスタイルの中でも、知的な生活とはどいういうものであるか、そしてそれがいかに良いものであるか、という事を説いてある、むしろ礼賛するという印象だった。
自分の中では、なるほど、という反応と、え、そうなの?という二通りの反応があったように思う。
とりあえず、自分の中で+方向に反応のあった物をメモしておく。
知的正直
知的正直、とは自分の面白いと思う事に正直になりなさい、という事。
たとえば、私は美術館などに行った折、絵を眺めて分かったふりをしたり、すごい人が描いたのだからすごいのだろう、と思ったりすることがあるけれども、それは知的正直ではないよ、と。
ぞくぞくするような面白さ(作者の場合だと少年の頃に読んだ講談の面白さ)を感じる事こそが、本当に分かったと言うことであると。そして、本当に分かったものだけを分かった、という事にする姿勢を知的正直というらしい。
分かったつもり、とか分かったふり、でなく、本当に分かる事を追い求める姿勢。
繰り返して読む
最近読んだ、レバレッジリーディングとか「知」のソフトウェアとかとは真逆の方法論。
何度も繰り返して読むことで、読書の質を高めたり、自分が好きな物(文体とか雰囲気とか)の型ができてくる。趣味が形成される、という言葉を使ってあった。
真逆の方法論、とは書いたがこれは読む対象が異なるのだろう。レバレッジリーディングとかは、「情報」を素早く吸収するための方法論であって、ここで繰り返して読むのは小説なりであり、教養というものに分類されるべき物が対象のように思われる。
なので、次々に読んでいく方法論と、繰り返して読む方法論は併用が可能なのだろうと思う。
本を所有する、という事
本とは知識。手元に本を持つ、という事は他者に比べて知的優位に立つ、という事、らしい。
繰り返して読む、という部分にも通ずるようだが、本を繰り返して読む、必要な時にすぐ読む、そのために所有する、できるだけたくさんの本を持つために工夫する、って事が色々と書いてあった。
半分賛成、半分反対、ってとこだろうか。技術書とかはちゃんと持っておいて、必要に応じて参照できる体勢にしておいたら便利そう、とは思うけども。
でも、今の時代、知識は専有するのではなく、シェアするべき物ではないかな、と思う。このあたり、筆者とは考え方が相容れない、と思った。
カードの話
元々、この本を読んだのはPoICのサイトで参考資料として紹介されていたからなので、この部分が一番読みたかったあたり。
調べる対象に対してカードを作っていき、それを並べていくことで足りない物が見えてきたりする、との事。
作者は、本を書くとき等に対象に対してのカードを作っていくらしい。そのカードのまとまりが機動部隊(タスクフォース)となるらしい。
また、卓上ファイルとして気になるような事をカードに書いて、分類項目に分けて蓄積していくと、10年くらいしたときに面白い資料ができあがる、との事だった。
このあたり、PoICの参考資料になった、というのは納得のできる記述だった。
実践的な話が知りたかったら、PoICのサイトで色々読む方が参考になると思う。
そんな感じか。
知的生活の方法、というタイトルではあるが方法論というよりは心構えの部分の方によりフォーカスしているように思う。特に、知的正直、というあたりはまさに心構えそのもの。
とはいえ、方法論的な部分もあるので、そういうのを期待する向きにも良いかも(1976年の本なので、そのまま使えない、というような物も多いが参考にはなるかと)。
知的正直
【知的生活】は自分自身を高める生活