たったひとつの冴えたやりかた
これも昔一度読んだ本。
表題作の他二本が収録された中編集。
表題作は泣けるお話。
宇宙の好きな16の少女が出会ったアクシデント。そのアクシデントに対応するための決断。
いってしまえばそれだけの話。だけれども、必ず泣けるという切ないお話。のはず。
最初に読んだときはえらく泣ける読後感だったような記憶があるが、結末を知っているせいか、風邪引いてるせいか、感性が鈍ってきているのか。ああ、悲しいねぇ、という感慨くらいしかもてなかった。人間は悲しさにも慣れてしまう動物なんですかね。
表題作の印象が強すぎたせいか、残り二つの話はほとんど記憶に残っておらず。新しい気持ちで読めました。
二作目は、結末がイマイチ好みではないかな。途中までは結構面白く読んでいたのですけど。ある意味、冷たい方程式の別解、になるのかな。
三作目は、ファーストコンタクトものの一種になるのでしょうか。
言葉が片言でしか通じない相手と、生死のかかった意思疎通の試み!が見所なんですかね。
巻末の後書きに、死について色々と説明がありましたが、こうして自分で書いてみて、なるほど三つとも死に向き合うという意味で共通している物があります。
本のタイトルは「たったひとつの冴えたやり方」ですけども、そういう意味では三つのケーススタディなわけで。表題作のタイトルは本のタイトルにはマッチしていないのかもしれません。
だけども、印象の深さで言うと、この本は、「たったひとつの冴えたやりかた」につきるのです。中編で、そこだけ読むのなら結構早く読めるので、そこだけでも読んで見るってのは悪くないと思います。