あんにんにっき。

日々思ったことや、おこったことを記録するブログ。要するに日記。

ひとつ上のアイディア。

 ひとつ上のアイディア。
 コピーライターや建築家、といったアイディアを生業にしているクリエイター20人の、「アイディア」というものに対しての考えをまとめた本。それを仕事にしている人々による言葉だけに、耳を傾ける価値は大いにある。
 最初この本を読むにあたって、アイディアをひらめくためのHowtoがまとめられているのかと思っていたが、そうではない。どうやら、Howtoなどという物は無いようだ。
 方法論についてかかれている物も無いではないが、人によってまちまちだし、この本はそういう本では無いようだ。
 では、この本はどういう本なのか? それは、一流の人たちがアイディアを出していく課程を見ることのできる本ではないかと思う。
 対象を見つめ、真剣にその事を考える。自分の心の中のすべてで対象を咀嚼し理解し反芻する。色々な角度から見つめ直し、さらにもう一度見直す。そういう果てにやっとこれは使えるのではないか、というアイディアが出てくる。だが、それで終わりではない。そのアイディアは一度捨て去り、それを越えるアイディアを追い求める。そうして出てきた物が、商品のコピー等になって我々の目の前に出てきているのだ。
 出てきたアイディアは、商品を生かすという目的にかなっているのか? 
 よりよい物を目指して作り続ける、という姿勢はある意味芸術家のようにも思える。だが、どうやらそうではないらしい。彼らの多くは、自分の色を出そうとしない。なぜなら、アイディアは商品を生かすために存在するから。そのアイディアを見た消費者なりが、商品に対する新しい視点を持ったり商品に愛着を持ったり。
 そういった目的をかなえる発想、それがアイディアという事らしい。
 私はコンピュータ業界で働いているが、参考になる考え方だと思った。その機能はユーザの役に立つのだろうか?このUIの設計は本当にこれでいいのだろうか? 良いと思っても、さらにその上を行く事を考える。それがプロの姿勢という奴なのではないだろうか。
 広告業界や建築業界のクリエイター20人の「アイディアとは?」をまとめた本だが、そういう業界に限らず、様々な業界の人間が読んでみるのもいいのではないだろうか、と思わされた本だった。
 ただ、ちょっと高い。2000円は高すぎ。ハードカバーにせず、もっと安くして欲しかった。あえてハードカバーにこだわったんだろうけどね。表紙のデザイン等含めて。